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④1980年代(現45~55歳あたりの方々がチルドレンであった時代)→激動の世の中がやや沈静化した昭和後半期にあたります。社会が疲れてしまった訳ではないと思いますが、教育界には違う風が吹き込んできました。ブックオフのコマーシャルではありませんが、「ゆるくいこうぜ~」(笑)です。いじめ・不登校・校内暴力などが出没し始めてきた時代です。大学進学率は40%近くまで来ていました。
※前時代の「詰め込み教育」や「落ちこぼれ」を反省し、後の「ゆとり教育」につながる、人間性を重視した教育を行うことを目標とした指導要領が作られました。学習内容の削減、登校週五日制の実施について前向きに取り組んでいく姿勢が、教育界に生まれてきた時代です。
⑤1990年代(現35~45歳あたりの方々がチルドレンであった時代) →指導要領はゆるくなったものの、教育現場では、相変わらず、いじめ・不登校・校内暴力が頻発していました。④の時代で提唱された「人間性を重視した教育」の更なる実践のため、個性の尊重や生徒の自主性、体験的な学習を通して問題を解決する力を養う学習などを取り入れるために、指導内容は三割削減、授業時間数は小中ともに-70時間への動きが活発化した時代です。
※「体験的な学習を通して問題解決を図る力を養成する」、これは戦後間もない、日本中が戦争で疲弊していた時代での教育目標に近いものです。この目標自体は、教育の神髄のようなもので、そこに反する意見はないと思いますが、このころの塾現場は、かなりの緊張を強いられていました。指導内容の削減や時間数減少で、今後何が起こるのか、簡単に想像できました。そしてその想像は勿論当たりました。
それまでの高校進学に関するデータは、福岡では、学校も塾も、業者テストと言われていた、年4回程の学校実施の模試結果に頼っていました。従って、学校と塾との見解にズレは殆ど見られないものでした。ところが、業者テストは偏差値偏重の教育に拍車をかけるものと、廃止されてしまいました。塾では模試受験は普通に行われましたが、学校では廃止・・・廃止された初年度の、学校での進路面接は、口あんぐり、呆れてものが言えなかったことを覚えています。全体の中での成績資料がないために、志望校は驚くほど下げられました。この消極的選択は、学校側がデータ収集の必要性のために、何年かかかって、中学校でのテスト実施システムが確立されるまで続きました。
⑥2000年代(現20~35歳あたりの方々がチルドレンであった時代) →ゆとり最盛期の時代です。校内暴力は確かに沈静化しました。この点では評価できます。なんとなくゆったりとしたムードは、これまでとは違った、他者を受け入れることができる、優しいこども作りに一役買ったと思います。
しかし、教育現場の実態を鑑みての教育改革ではありますが、この頃から政府が危惧し始めたことがあります。PISAと言われる国際的な生徒の学習到達度調査に於いて、日本の順位が急激に下がっていったことです。PISAは2000年に始まり、3年毎に各国で実施されます。数学的部門、理科的部門、読解力部門でグレーディングされます。
日本のこれまでの順位は、1数学的部門、2理科的部門、3読解力部門の順で→
2000年:1・2・8位、2003年:6・2・14位、2006年:10・6・15位、2009年:9・5・8位、2012年:7・4・4位、2015年:5・2・8位 です。
日本政府としては、特に理系学力の低下は、そのまま国力低下につながるものとして大きな危惧を抱いていましたので、徐々に順位を上げてきていることに安堵しているかもしれません。但し、理系学力偏重の世の中は、クロ松はやや心配です。太平洋戦争前の、特に工学専攻の偏重教育には危ないものを感じています。理系も文系もバランスよく学習し、人間力を広げていってほしいものです。
5月の〆
昭和から平成までの教育界の変遷を追ってみました。ジジババ時代、パパママ時代、今のゆとりが終わった時代、それぞれの時代の子ども達は、それぞれの時代を背負っていることがよく判ります。三つ子の魂百までではありませんが、それぞれの時代を反映して、親子の中でも様々な違った見解を持っているかもしれません。何かの折にでも、キラキラ輝いてた時代のお話を、ご家庭でされてみるのも一興かもしれません。