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発達心理学で「母子分離」ということばがあります。漢字の通り、母と子どもの行動上や精神上の分離を意味する言葉です。この母子分離がうまくいかないと、将来様々な問題が家庭に生じてくるということです。母子分離問題は、母親と息子間のほうがより深刻です。
母子は、生命が胎内に宿ったときから、その濃厚な付き合いがはじまります。彼らが意識
するしないに関わらず、この関係は、一般的に濃厚で信頼に満ち溢れています。母子はそもそも生理的なつながりを持っているため、母性は自然に与えられており、いわば標準装備的なものです。その核は「子どもを守る」、この点にほぼ集約されます。
一方、父親は違います。父性は意識して、努力して獲得していかなくてはなりません。
また、父性は母性と違い、少々危険なことでも、見守りの中で入り口くらいは体験させてあげたり、或いは危機回避の方法や、家庭外で生きていく術を伝授したりといった、もっと大きな枠の中でとらえた手本であり水先案内人の役目をもつものです。どちらかと言えば、危機に敏感な母親に隠れて、一緒に少々の危機を共有したといった仲間意識、こういったことが子どもの心にインプットされていることも大事だそうです。
父性は家庭内という小さな環境から、自然界といった大きな世界への誘い(いざない)とガイドを果たす役割を担います。
しかし、だからと言って、母子家庭・父子家庭といった、シングルペアレントの家庭環境が問題ということではありません。母子家庭では、母親が心掛けて父性の役割を担えば問題ありませんし、父子家庭では、祖母や近所のおばちゃんたちが、母性の役割を担ってくれたらよい話なのだそうです。問題なのは、同居しているはずなのに不在が多い父親であったり、無関心な父親であったり、家庭に母親が二人いるような、優しすぎる父親であったりといった現実だそうです。家庭内に母性を担う人間が二人いることは百害あって一利なしです。
思春期の入り口に入るころ、こどもは体格も増し、母親の力には及ばないことも出てきます。給料が安くても(笑)父親は父親です。何かあればガツンと一発、雷を落とすことも大事です。しかし、重要な場面でこの「ガツン!」が有効になるためには、上記で述べたそれまでの父親と子どもとの関わりや、父親に対する母親の思いが外せません。母親から見て、稼ぎの少ない父ちゃんでも、父ちゃんは父ちゃんです。稼ぎ=父性指数にするのはもっての外です。
うちの子はもう大きくなってしまったから・・・と諦めるのは早いですよ。
以前、或るCMで、父子が暗い押し入れの中で探検ごっこをしていました。隊長は息子です(笑) 世のお父さんたち、どうかどうか父性溢れるご家庭をお作りください。